税込7,700円以上ご購入で
送料決済手数料無料!
最先端の遺伝子研究から生まれたトータルケアブランド
「アドバンジェン」の公式オンラインショップ

ビューティコラム

概日リズムと毛周期

■この記事の監修者

監修・ライター
行方昌人 Namekata Masato
理学博士
1979 年生まれ。
専門分野:細胞生物学、細胞工学、毛髪科学

暗くなると眠くなる、定時におなかが減るなど、個々の環境によって体内時計が存在することは皆さん経験があるかと思います。

この生理現象のことを生物学では概日(がいじつ)リズム(circadian rhythm)といい、生体内で高度に調節されていることが知られています。

髪の毛を作り出す毛包にも概日リズムは存在していて、毛の成長に関わっていることが報告されており、概日リズムと毛周期(成長‐退行‐休止)の関係性の乱れは老化による薄毛や白髪に大きく影響するかもしれないようです。

目次

概日リズムとは

地球上の生物は約25時間の明暗周期にその活動を同調させています。

このような生物リズムは、概(おおむね)1日周期という意味で概日(がいじつ)リズムと呼ばれており、身体を構成する細胞の一つ一つがもっています。

概日リズムは人を含む動物において、脳波、ホルモン分泌、細胞の再生、その他の多くの生命活動に寄与しています。

このリズムは明暗の周期に関係していて、睡眠や摂食のパターンを決定する点において重要です。

ヒトの概日リズムは25時間と知られており、24時間の周期性とは1時間のずれが生じているのですが、このずれを修正する(リセットする)のに重要なのが朝日などの光なのです。

光に含まれる青色成分に、24時間周期に合わせることを可能にする働きがあり、視界に入った光を受けて、脳内から神経あるいは体液性のシグナルを介して、各組織における細胞の概日リズムが同期され、生理現象を調節しています。

概日リズムの乱れと症状

夜遅くまで明るい場所で起きていたり、朝遅くまで暗い部屋で寝ていたりと、生活のリズムが不規則な状態が続くと、概日リズムが乱れることもあります。

概日リズムの乱れは通常、短期的に良くない影響をおよぼします。

例えば、時差ボケを経験したことがあるのではないでしょうか。

主な時差ボケの症状として、疲労、不眠などがあげられます。

この睡眠・覚醒リズムは概日リズムとずれた状態になることがあり、このような体内リズムの乱れは規則正しい明暗サイクルを与えることで解消されます。

このような内因性リズムのずれが外界の時間に同調しきれずに、一過性のリズム異常によって生理現象異常が引き起こされることになり、時には場所や時間などの自分の置かれている状況の認識能力が低下してしまう(失見当識)こともあるようです。

毛周期と概日リズムは同期している

毛包においても概日リズムは存在しているようなのです。

概日リズムは1日周期ですが、毛包にはもう一つの周期を持っていて、それは毛の成長‐退行‐休止を繰り返す毛周期というヒトでは3~7年周期のサイクルです。

一見この二つの周期性に関係性はなさそうですが、概日リズムの周期性を長い間観察してみると、毛周期との間に法則性があることがわかります。

つまり、概日リズムを刻みながら、毛周期と同期して、特定時期のタンパク質産生量に大きな違いができています。

概日リズム調節に必要なタンパク質が欠失したマウスは毛成長進行が遅くなり、これは毛の素になる毛母細胞の増殖に大きく影響することが報告されています1)

概日リズム調節に必要なタンパク質の産生量は概日リズムの周期性を持ちながら、毛周期とも同期して、休止期では毛母細胞などの増殖能を低下させ、成長期では毛を産生するよう毛母細胞の増殖を活性化させるように調節しているのです。

概日リズムと薄毛の関係は?

では、概日リズムと毛周期の同期がずれてしまったとき、毛の成長や再生についてどのような影響があるのでしょうか?

残念ながら概日リズムのずれが薄毛や脱毛症に影響しているかどうかは詳しくわかっていません。

しかし、概日リズムを制御する遺伝子の働きが毛成長に関わる働きをしている事や、概日リズムによって紫外線防御やDNA修復、抗酸化作用に影響をおよぼし皮膚老化と関係している可能性が提唱されていて、このようなことから薄毛や白髪との関連性が推測されています2)

科学的な証明という側面ではまだまだ可能性の域を超えていませんが、規則正しい生活から概日リズムを整えることは育毛にとっても正しいケア方法のひとつであるということは間違いなさそうです。

参考文献

1. Kevin K. Lin, Vivek Kumar, Mikhail Geyfman, Darya Chudova, Alexander T. Ihler, Padhraic Smyth, Ralf Paus, Joseph S. Takahashi, Bogi Andersen. PloS Genet. (2009), e1000573

2. Mikhail Geyfman and Bogi Andersen. Aging (2010), 122-128

カルフォルニア大学のAndersen教授のグループは主に上皮における転写制御機構の理解と、この知見から上皮組織の疾患に関する研究を行っている研究室です。皮膚における概日リズムの役割についても多くの研究成果を上げており、毛の成長サイクルにおいて概日リズムが細胞周期調節因子としての役割を持つことを発見しました。

人気コラム

カテゴリー

ヘアケア(15)スカルプケア(9)スキンケア(1)サイエンス(8)

キーワード

育毛剤シャンプーシリコーンシリコンラウレスキューティクルアミノ酸系洗浄力泡立ち

監修者、ライター紹介

監修
荒瀬誠治 Arase Seiji
徳島大学医学部皮膚科学分野 名誉教授
毛髪疾患の専門医師として円形脱毛症診療ガイドライン作成委員長や、日独皮膚科学会会長を務めるなど、日本を代表する毛髪医療のスペシャリスト。
1947年生まれ。1974年徳島大学医学部卒業後、同大学皮膚科入局。1991年徳島大学医学部皮膚科教授となり、現名誉教授。
専門分野:皮膚付属器の文化機構(特に毛包の生物学)、光と皮膚(特に紫外線発癌、DNA修復、癌抑制遺伝子)

詳細を見る

監修・ライター
西村リサ Nishimura Risa
株式会社 sandalista 代表取締役
毛髪診断士認定講 師・コスメコンシェルジ ュ・WEB ライター
大手化粧品メーカーでメイクアップアーティストとして活動後、2008 年に独立。
自身の世界観を具現化するべく「sandalista(サンダリスタ)」を主宰。
スキンケア、ヘアケアに関する執筆活動や、講演、個別レッスンを通じ 多くの方に「善い美容週間の定着」を提案している。

詳細を見る

監修・ライター
横田淑美 Yokota Yoshimi
株式会社アドバンジェン 製品開発部部長
2008年株式会社アドバンジェン入社。「今日という日を、思いっきり楽しんでもらいたい」という願いを込めて製品開発に注力している。
1988年京都大学大学院・生命科学研究科修士過程終了(遺伝子操作・タンパク質解析研究)。1988年国内医薬品メーカー・応用生化学研究所入所。バイオセンサーの工業化に成功。2005年(国研)産業技術総合研究所勤務。バイオセンサーの研究に携わる。

詳細を見る

監修・ライター
行方昌人 Namekata Masato
理学博士
1979 年生まれ。
専門分野:細胞生物学、細胞工学、毛髪科学

詳細を見る

お問い合わせ
平日 9:00-12:00,13:00-17:00 ( 土日祝日を除く)
発信する
24 時間受付