
徳島大学医学部皮膚科学分野 名誉教授の荒瀬誠治先生と一緒に、さまざまな角度から「抜け毛」について考えるこのコーナー。
第4回は「シャンプー」がテーマ。私たちの日常生活に当たり前のように存在する「シャンプー」。毎日使うものだからこそ、丁寧に選びたいもの。髪に優しくて、できれば「抜け毛」の悩みを軽減してくれれば……。なんてちょっと贅沢ですかね(笑)。
今回も、髪のスペシャリスト荒瀬先生にアドバイスいただきます。どうぞあなたにぴったりの「シャンプー」を見つけてください!
目次
「抜け毛」に効果のあるという「シャンプー」が増えています。
最近は、加齢ばかりでなく、若い女性のかたのなかにもストレス
や出産などによる「抜け毛」に悩んでいる人が増えていますからね。それに伴い、「抜け毛」予防に効果のあるとうたわれている「シャンプー」も増えているということでしょう。
「抜け毛」の原因のひとつに頭皮環境が挙げられます。それを改善するために「シャンプー」が大きな役割を果たすことは間違いありません。人によって体質や生活習慣、頭皮状況は大きく違いますから、自分に合った「シャンプー」を選ぶことが大切です。 とはいえ「シャンプー」を使ったからといって、すでに抜けてしまった髪を取り戻すことはできません。あくまでもその目的は、次に髪が生えてきやすい環境を整えることです。
「抜け毛」用以外の「シャンプー」では、頭皮環境を整えることはできないのでしょうか?
「シャンプー」の目的は、髪をきちんと洗うことが1番ですが、今では頭皮環境を整える、正常に保つことも一つの目標になっているようです。髪を補修するだけでなく、その土台となる健康な頭皮を整えることにあります。
市販の「シャンプー」には、頭皮の汚れや皮脂を落とす成分が入っています。過剰な皮脂は頭皮環境を乱してしまいますが、健康な頭皮には適度な皮脂も必要ですから落とし過ぎは厳禁です。また、同じく「シャンプー」に含まれるコーティング剤、いわゆるシリコンは、髪の表面に膜を張ることが目的ですが、頭皮にまで油膜を張って毛穴をふさいでしまうことがあるので、注意が必要です。 繰り返しになりますが、「抜け毛」を予防するためには、健康な頭皮環境を整えることが一番効果的です。現在、「シャンプー」に含まれるすべての成分の記載が義務付けられていますから、シャンプーを選ぶときにはその成分を確認したり、それが髪や頭皮にどのような影響を与えるかなどを調べたりする習慣をつけてほしいですね。
「シャンプー」をするときに気をつけることはありますか?
最初にしっかりブラッシングして、髪の毛についたホコリやゴミを取るとともに、からまった髪をほどきましょう。そうすることで浮き上がったホコリや汚れが落ちやすくなります。そして、「シャンプー」をつける前に、少しぬるいと感じる程度の38度前後のお湯で髪を洗い、浮き上がったホコリや汚れ、頭皮についた皮脂などを落とします。
シャンプー剤は手のひらでよく泡だて使います。その泡を髪全体になじませ、爪を立てずに優しくゆっくりと、頭皮をマッサージするように洗います。そして何よりも大切なのはすすぎです。頭皮に残ってしまったシャンプー剤は頭皮環境を悪化させてしまう場合があります。 また爪を立ててゴシゴシ洗うと、本来必要な皮脂も洗い流してしまったり、頭皮を傷つけてしまったりすることがあるので注意が必要ですね。
コンディショナーも使った方がよいでしょうか?
多くのかたは、シャンプー剤と一緒にコンディショナーも使われていますよね。コンディショナーは、頭皮を健康な状態にするためというより、髪の毛の表面にあるキューティクルを整えるためのものです。
最近は、髪の毛の内部に浸透させてダメージを補修するトリートメント剤も増えていますね。どちらも髪の毛自体に効果を発揮するものですから、「抜け毛」を防ぐための頭皮に直接影響することはありません。
むしろ洗い残ったコンディショナーやトリートメント剤が頭皮をふさいでしまうと新たな「抜け毛」の原因にもなりかねませんから、できるだけ髪の毛にだけつける、頭皮についコンディショナーやトリートメント剤はしっかり洗い流すなどの注意が必要です。
「シャンプー」以外に抜け毛を防ぐために効果があることはありますか?
「帽状腱膜」という名前を聞いたことがありますか?
「帽状腱膜」とは、頭蓋骨の前後にある筋肉につながった薄い筋膜のことです。人間の頭には側頭筋、前頭筋、後頭筋という3つの筋肉があるのですが、頭頂部付近(てっぺん部)だけは筋肉がなく、この「帽状腱膜」がぴったりと頭蓋骨を覆って頭皮を支えています。血流ポンプの役割を持つ筋肉がない帽状腱膜部=てっぺん部は血流が悪く、また老廃物が溜まりやすいことから、薄毛や抜け毛になりやすいともいわれています。
つまり「帽状腱膜」の硬直をほぐし、周辺の筋肉を動かすことで、血流がよくなり、頭皮全体に栄養や酸素が行き渡り、「抜け毛」を防ぎ「薄毛」を改善することにつながっていきます。「抜け毛」や「薄毛」に悩むかたは、ぜひシャンプーの際に、頭皮をマッサージし「帽状腱膜」をほぐすことをお勧めします。
ありがとうございました。
最近は、加齢ばかりでなく、若い女性のかたのなかにもストレスや出産などによる「抜け毛」に悩んでいる人が増えています。それに伴い「抜け毛」予防に効果のあるという「シャンプー」も目に付くようになりました。
「シャンプー」は、毛髪を綺麗にするのが第一目標ですが、最近は頭皮にも働き、「抜け毛」の原因のひとつである頭皮環境を改善する、とも考えられています。人によって体質や生活習慣、頭皮状況は大きく違いますから、自分に合った「シャンプー」を選び、正しい洗い方を身につけましょう。
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